鍼灸について

鍼灸治療とは

鍼灸治療とは経験則で構築されてきた東洋医学の治療方法の一つです。同じように発展してきた治療方法に漢方(湯液)があります。

東洋医学の思想には、いっさいの現象は正と反の二つの面をもつといった陰陽論や人の日常生活と生産活動に不可欠な基本物質(木、火、土、金、水)を唱えた五行論などがあります。

また、「人の構造は大自然と相応している」、「心と体の調和が重要」などと言った思想もあります。

 

実は東洋医学で発展してきた鍼灸も西洋医学的にその効果の検証がでるようになってきました。それらをいくつか紹介します。

鍼灸刺激の反射作用

鍼灸は体表面に刺激を加えることによって内臓への自律 神経反射を起します。
従って、心拍数減少や血管拡張、消化作用の亢進など、交感神経機能を抑制し、副交感神経機能を亢進することで生体を緊張状態から解き放ちます。

また、軸索反射という生理学的機序により血管拡張、および血流の増大が起こり、細胞に潤沢に血液を送ると共に痛みの原因である血中の発痛物質を洗い流し痛みを軽減します。

鍼治療の特性

鍼灸の中でも特に鍼治療に特有の発現効果は鍼鎮痛です。鍼鎮痛は鍼の体表への刺激が下行性痛覚抑制系を作動させます。下行性痛覚抑制系は脳の中脳水道周囲灰白質からセロトニン系とノルアドレナリン系の2系統を通り、脊髄後角で痛覚を遮断するという生理学的機序によるものです。この機序も体性自律神経反射や軸索反射などの生理学的機序と共に鍼治療で痛みが軽減する大きな理由になっています。

灸治療の特性

灸治療は、人為的に小さな炎症を作ることで、その熱刺激によって自律神経系に働きかけます。さらに、内分泌、免疫系にも働きを掛け、体性の恒常性の維持に貢献します。灸治療は白血球の増加させ活動を活発化させ、免疫力を向上させるとともに、増血作用、止血作用、強心効果があることなど、循環器系の関与も認められています。

鍼治療は痛くないのか?

はじめて、鍼治療を受ける方には、鍼を体に刺すわけです からその痛みが気になるでしょう。しかし、鍼治療は痛くありません。その理由はいくつかあるのですが、まず、鍼灸治療に使う鍼はきわめて細いということです。また、 鍼刺しする前に、刺鍼部位の皮膚や筋肉を和らげ、刺激に 慣れさせる前揉法という術式を実施します。さらに、治療者が鍼と鍼管鍼を正確な位置に刺すためにいれる管)を支えておく手が刺鍼部位に垂直に圧を掛けることによっ て触圧覚が痛覚を抑制するという機序(ゲートコントロ ール説)が働き痛みを抑制します。これらのこと全てが 鍼治療の際に、痛みを感じさせない理由になっています。

お灸は熱くないのか?

灸治療はその症状などによって方法が異なります。いぼ、 たこ、魚の目などの治療には組織破壊を目的にしますので、意図的火傷を作る形なります。

しかし、温熱効果を期待する疾患で、火傷を意図的に必要がない疾患では、患者様の皮膚に火傷を作るようなことはしません。ほんのり気持ちのよいあたたかさのところで、もぐさを取り除いたりする無痕灸(皮膚に痕跡を残さない お灸)を実施いたします。

鍼灸の効果(治療的作用)

鍼灸の効果、その治療的作用をご紹介します。

1.調整作用

人体の組織や器官に一定の刺激を加え、その機能を調整する。

調整作用には興奮作用と鎮静作用があります。

1)興奮作用

知覚鈍麻・消失あるいは運動麻痺のような神経機能の減弱および内臓諸器官の機能減退に対して、興奮させる作用である。

→弛緩性便秘、顔面麻痺、運動麻痺など

2)鎮静作用

疼痛や痙攣のように異常に機能が興奮している疾患に対して沈静させる作用である。

→神経痛、月経痛、下痢など

2.誘導作用

患部に直接刺鍼施灸するか、または遠隔部に刺鍼施灸して、その部の血管に影響を及ぼし、充血を起こし、患部の血量を調節するものである。

1)患部誘導法

局所の血行障害に対し、直接その患部に施術して、血流を他の健部から誘導する方法

→五十肩、肩こり、筋萎縮、麻痺など

2)健部誘導法

局所の充血または炎症などの際に、その部位より少々隔たった部に施術し、血液をそちらに誘導し、患部の血量を調整する方法

→変形性膝関節症の関節水腫、脳充血、皮下出血など

3.鎮静作用

「鍼灸について」の項に記載されているように内因性モルヒネ様物質あるいは下降性抑制系などの機序により鎮痛作用が発現する。

→腰痛、肩痛、膝痛などの痛みが発生する症状など

4.防衛作用

白血球や大食細胞などを増加させて、各種疾患の治癒機能を促進させ、生体の防衛能力を高める作用。

5.免疫作用

免疫能を高める作用

6.消炎作用

施術により白血球は増加し、施術部位に遊走する。また、血流改善により病的滲出物などの吸収を促進させ、生体の防衛能力を高める作用。

7.転調作用

自律神経失調症やアレルギー体質を改善して、体質を強化する作用。

→気管支喘息、アトピー性皮膚炎など

8.反射作用

痛みや温熱刺激による反射機転を介して、組織、臓器の機能を鼓舞あるいは抑制する。

→常習性便秘など

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